トイレタンクの水が止まらない│要因発見までの手順と対処法を紹介

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コラム

生活する中で「水」という存在は必要不可欠です。トイレ・お風呂・キッチンなど日常で使用する機会の多い水まわりでは、つまり・水漏れといったトラブルが起きることも少なくありません。
いざ水まわりのトラブルが起きた時に、覚えておいた方がよいことや気を付けておくべきことなどを「水のコラム」としてご紹介します。

トイレタンクの水が止まらない│要因発見までの手順と対処法を紹介

       

トイレタンクの水が止まらないトラブルでお困りではないでしょうか。

水道代のことも考えると、なるべく早く対処したいものです。

そこで本記事ではトイレタンクの水が止まらないという問題について、要因発見までの手順と対処法を解説しています。

業者に依頼せずに自分でできる解決法や、問題を放置した際の水道代についても紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。

トイレタンクの水が止まらない一般的な症状

トラブルの内容は、概ね以下の3種類に分けられます。

  • 手洗い用の給水管から水が出る
  • 便器内へ水が流出する
  • タンク内から「ちょろちょろ」と音がする

それぞれの状況により、ある程度の要因推測が可能です。各項目について詳しく解説していきます。

手洗い用の給水管から水が出る

まずはタンク上部に設置された手洗い用の給水管から水が流出する事例です。考えられる要因は以下のとおりになります。

  • 水面位置の設定不良
  • ボールタップの不良
  • 浮球の不良
  • パッキンや接続部の摩耗・劣化

いずれの要因も水の供給が停止されない状況を誘発してしまいます。このなかで特に要因として多いのはボールタップの不良です。

パッキンや接続部の摩耗・劣化も見落とさないように十分注意しましょう。

便器内へ水が流出する

次に便器内へ水が流出し続ける事例です。要因は以下のとおりになります。

  • 水面位置の設定不良
  • ボールタップの不良
  • 浮球の不良
  • ゴムフロートの摩耗・劣化・ずれ
  • オーバーフロー管の破損

便器内へ水が流出するということも、給水が止まっていないことを意味します。したがって給水側と排水側、両方の要因を疑う必要があるでしょう。

さまざまな部品の経年劣化が疑われるトラブルだといえます。

タンク内から「ちょろちょろ」と音がする

最後はタンク内からチョロチョロと音がする事例です。予想される要因は以下のようなものになります。

  • 給水量の不足
  • ボールタップの不良
  • 浮球の不良
  • ゴムフロートの摩耗・劣化・ずれ

「ちょろちょろ」という音は、突発的な理由により給水がコントロールできていないときに発生します。

このなかでも、念のためチェックしておいてほしいのが給水量の不足です。そもそもの給水量が少ないために、チョロチョロとしか水が出ていない可能性があります。

各部品に不良がないか確認する前に、止水栓の開度を増やして状況に変化がないか様子を見てみましょう。

トイレタンクから水が流れるシステム

トイレタンクの水に関する一般的なトラブルについて解説しましたが、各部品の機能や動きを理解していないとイメージするのは難しいでしょう。

そこでここからは便器へと水が流れるシステムについて解説していきます。タンクの給水、および排水は以下のようなサイクルで行われるのが基本です。

  1. レバーを回すとゴムフロートが上がり、水が流れる
  2. タンク内の水が減ると浮球が下がり、給水が開始される
  3. 水量がオーバーした際は、オーバーフロー管から排水される

各動作について詳しく解説していきます。

1.レバーを回すとゴムフロートが上がり、水が流れる

まずはレバーを回して水が流れるまでの動きについてです。

タンク下部は便器へ水を流す排管とつながっていますが、その入口はゴムフロートと呼ばれる栓で塞がれています。

水を流すときに回すレバーは鎖でゴムフロートとつながっており、レバーを回すとゴムフロートが引き上げられタンク内の水が排管へと流出する仕組みです。

2.タンク内の水が減ると浮球が下がり、給水が開始される

便器内へ水が流出するとタンク内の水が減っていき、水面に浮いている浮球も連動して徐々に下がっていきます。

浮球はボールタップの給水バルブをコントロールする装置です。浮球が下がることでバルブの開口が行われます。

このとき便器内へ水を流す排管入口は、ゴムフロートの自重により再び栓がされた状態です。

給水によりタンク内の水面位置が上昇すると浮球も上昇し、ボールタップのバルブが閉められ給水もストップします。

3.水量がオーバーした際は、オーバーフロー管から排水される

タンク内の水溢れを防ぐのが、オーバーフロー管・溢水管(いっすいかん)・溢れ管などと呼ばれる部品です。

オーバーフロー管の先端は通常時の水面よりも少し高い位置にあり、タンク内の水が増え過ぎるとオーバーフロー管の中に水が流れ込み、便器内へ排出する仕組みになっています。

タンク内の水量はこれまで解説してきた一連のサイクルで調整されているため、特に問題がなければオーバーフロー管が作動することはありません。

万が一のために取り付けられる装置で、タンクから水が溢れる心配を軽減します。

トイレタンクの不良個所を確認する手順

トイレタンクの水に関するトラブルは、症状からある程度の要因を推測できると解説しました。ここからは不良箇所をしっかりと確認するまでの手順について紹介していきます。

1.症状から予想される要因を考えておく

タンクの水が止まらない問題に対して、要因と思われる箇所をやみくもにチェックするのは非効率です。

まずは症状から予想される要因を考えて、タンクのフタを開けてから確認すべき部品を、前もって頭に入れておきましょう。

2.止水栓を閉めてトイレの電源を切る

原因を確認する作業の前に止水栓を閉めます。止水栓とはタンクにつながる配管の根元に付いている、水量調節用の器具です。

ここをマイナスドライバーもしくはハンドルで右に回すことにより、水の供給を止めることができます。再び水を流すときのために、回した回数は覚えておきましょう。

止水栓が回らないときに無理に回すと、状況によっては破損する恐れもあります。このような場合は無理をせずに、水道の元栓を閉めてください。

その次にプラグを抜いてトイレの電源を切るのですが、これは感電や漏水による故障を防ぐために行います。

プラグの先が水に濡れないよう、ビニール袋を使って保護しておきましょう。

3.タンクのフタを取り外す

次にタンクのフタを取り外しますが、手洗い管付きの場合は注意が必要です。給水管の仕様によって、外し方が以下の3タイプに分かれます。

  • 給水管が垂直に伸びた金属パイプで、そのまま持ち上げるタイプ
  • 給水管がジャバラホースで、接続部のナットを緩めるタイプ
  • 給水管がゴムホースで、止めてあるバンドを外すタイプ

フタを少し持ち上げて抵抗があるようなら、ジャバラまたはゴムホースのどちらかがつながっています。

タンクのフタは壊れやすく、重いので、フタを外す際はけがや破損に注意して作業しましょう。

節水型のタンクになると内側にもう1枚プラスチック製のフタが入っていることもありますが、同様に取り外しておいてください。

4.オーバーフロー管のウォーターラインで水位を確認する

タンクのフタを外したら、オーバーフロー管に刻まれた水位線に注目しましょう。水位線には「WL(ウォーターライン)」の文字が表示されています。

このウォーターラインの位置がタンク内通常時の水面位置です。水位線がない場合はオーバーフロー管の先端より2~3cm下を標準の水面位置と見なします。

止水栓を閉めて水が供給されない状態で、水面位置がウォーターラインより高いか低いかを確認しましょう。

水面の位置を見ることにより、要因の絞り込みと適切な解決法が判断できます。以上が不具合箇所を確認するまでの基本的な手順です。

水位線よりも水面が高い場合の対処法

それでは実際の対処法について解説していきます。まずはウォーターラインよりも水面位置が高かった場合です。

給水状況を確認するためタンク内の水を減らし、止水栓を少し開けて給水を開始します。

このとき手洗い管への給水が飛び散らないよう、ホースの先はタンクに向けておいてください。

次に浮球を手で引き上げてみましょう。その結果で以下のように解決法が決まります。

  • 水が止まった→ボールタップの調整・浮球の取替えが必要
  • 水が止まらない→ボールタップの取替えが必要

それぞれの解決法についても解説していきます。

ボールタップの調整

浮球を引き上げて水が止まる場合は、水面の位置調整が上手くできていない可能性を疑いましょう。具体的にはウォーターラインで給水が止まるよう浮球の位置を調整します。

ボールタップの付け根に水位調節リングがある場合、その部分を回転させることで浮球の位置が調整可能です。

浮球が球形でないタイプになると、浮球自体を左右に回すことで調整ができます。上から見て右に回すと水位が低く、左に回すと水位が高くなります。

水面位置の調節機能がどこにもない場合は、浮球を接続している棒の中間部分を曲げて調整してください。

浮球の取替え

浮球が破損していると水位上昇に連動できず、ボールタップのバルブを閉じることができません。

そのために水面位置がウォーターラインよりも高くなっている可能性があります。

本体に割れや穴がないか確認して、異常を見つけたらすぐに取替えましょう。

ボールタップの取替え

浮球を引き上げても水が止まらない場合は、高い確率でボールタップの不良です。止水栓をもう一度閉めて給水を停止し、タンク内の水を空にして取替え作業を始めましょう。

取り外すにはモンキーレンチやスパナなど、ナットを回す工具が必要です。パッキンがいくつか取り付けられているので、摩耗・劣化していたら同時に取替えておきましょう。

部品の取替えが済んだら水位調整を行って修理完了です。

水位線よりも水面が低い場合の対処法

続いてウォーターラインよりも水面位置が低い場合の対処法です。具体的な解決法としては以下のとおりになります。

  • ゴムフロートの取替え
  • レバーとゴムフロートを連結している鎖の調整
  • オーバーフロー管の取替え

それぞれの解決法が当てはまる根拠についても解説していきます。

ゴムフロートの取替え

ウォーターラインよりも水面が下がってしまう現象は、便器内へ水が流出していることを意味します。ゆえにゴムフロートの不具合確認から始めましょう。

ゴムフロート本体を触ってみて、手に色がついたりボロボロと崩れたりしないか確認してみてください。

このような症状はゴムフロートが摩耗・劣化している証拠なので迷わず取替えましょう。

排水口にぴったりはまらない・隙間ができるなどの症状が見られても取替えを検討すべきです。

レバーとゴムフロートを連結している鎖の調整

水位低下の要因としてレバーとゴムフロートを連結している鎖が絡まり、正確な動きができていない場合もあります。

また2つを連結している鎖には若干のたるみが必要です。鎖の長さに余裕があるかチェックしてみてください。

以上の不具合は簡単に確認できますので、おかしいと思ったらすぐに調整しておきましょう。

オーバーフロー管の取替え

ウォーターラインよりも水面が低い場合、タンク内の水あふれを防止するオーバーフロー管の不具合も考えられます。

なぜならオーバーフロー管の途中に微細なひびがあるだけで、少しずつ便器内へ水が流出していくからです。不具合を見つける方法ですが、まずは給水を止めましょう。

その状態からウォーターラインまで水を入れ、しばらく待って水面位置が変化しなくなったところでオーバーフロー管に異常がないかチェックしてみてください。

もし、オーバーフロー管の異常を見つけたら、取替えは専門業者に依頼しましょう。タンク全体を取り外さなければならず、作業の難易度も高いからです。

すぐに対処せず放置した際の水道代

最後に、問題を放置してすぐに対処しなかった場合のリスクを紹介しておきます。今回はリスクのなかでも気になりやすい、水道代について解説していきましょう。

わずかな水漏れでも1か月74,500円!

結論からいうと「便器内の水がわずかに動く程度の水漏れ」で、かかる水道代は1か月74,500円です。

便器内にたまる水が多い洋式トイレで想定される1か月の漏水量は約15万L、水道料金は東京都のある時期を参照して計算しています。

少ない水量で洗浄を行う節水型のトイレでも1か月7,600円です。とても放置できない金額だといえます。

条件を満たせば減額申請が可能

水漏れのトラブルに気づかず水道代が高額になった場合、条件を満たすことで減額申請が可能です。

満たすべき条件は地方自治体によって細かな違いがあるため、申請する際は事前の確認が必要となります。

申請方法についても市町村で変わってくるので注意しておくべきでしょう。自分で行う場合と業者が行ってくれる場合、または両方の書類が必要になる事例もあります。

まとめ

トイレタンクの水が止まらないトラブルのなかには、業者に依頼せずに自分で対処できるものもあります。

問題が起きているトイレのモデルや品番を確認し、規格に合った部品を用意できれば自分で対応することも可能です。

一方で専門業者でないと対応が難しい事例もあり、手順を間違えることでトラブルが拡大する恐れもあります。少しでも不安を感じるならプロに修理を依頼すべきでしょう。

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